匠の技

文化堂スポーツ

野田康弘福島店 店長

ミズノグラブフィッター

今日もせっせとグラブ補修をする野田氏の姿が店の入り口から見える-。

グラブ職人といえる「ミズノグラブフィッター」の認定を持つ野田氏は、野球経験は中学時代までと、意外にも短い野球歴だ。

スポーツ店への就職したころ、野球道具については、知らないことだらけで仕事にならなかった。

「だからこそ、ストイックに勉強できた」

と社会人なりたてのころを振り返る。
高校野球、社会人野球を経験していないからこそ、先入観がなくお客様目線でスポーツ店の店員として野球道具と真摯に対峙してきた。
最近では、来店者の父親が使用していた“30年モノ”のグラブリペア依頼があった。大型スポーツ店では受け入れて貰えないような依頼こそ、クラフトマンのプライドをくすぐる。すぐに修理を引き受け、リペアされたグラブは30年の時を超え、現役で使用できるグラブとして息を吹き返した。

「よく言われることですが、グラブは生き物なんです。汚れがあったら、人間でいえば口や鼻を塞がれているようなもので、息ができないんですよ。 だから、ちゃんと汚れを落としてやるんです」

野田康弘20年を超える経験の中で、多くのプレイヤーのグラブをリペアしてきた。高額なグラブもあれば、もちろん、比較的手ごろな価格のグラブもある。
高額だからといって、長く使える補償はない。だからこそ、メンテナンスが重要となる。一流選手が道具を大事にしていることは周知の事実だ。

「野球道具に関することなら、何でも気軽に聞いて欲しいですね」

“何でも”という言葉から、クラフトマンとしてのプライドがまたキラリと光った。